始まり

きっかけ

何事にも『始まり』や『きっかけ』があります。

今回の絵は20年以上前、初めて売れそうになった絵です。

『無題』F4号キャンバスにアクリル絵の具、モデリングペースト、大理石粉

この絵は2回目のグループ展を行なった際に、購入を検討してくださった方がいました。

結果的には、別の方の作品をお求めになってこの絵は手元に残ったのですが、今となっては手元に残って良かったと思っています。

この絵は技術的に見るべきものは無いのですが、今につながる作品になったからです。

 

購入を検討して頂ける作品を生み出すことが出来た、その感動がどこかに残って描き続ける力になりました。そして『きっかけ』と『始まり』がこうして今、画家として起つことになったのです。

絵を描く為に初心に戻らねばならない時、この絵が手元にあることで私はそれをすることが出来る。

 

この記事を読んでくださっている方の中で、何かを始めるのを躊躇っている方がいるならば思い出してみませんか? そのやってみたかった『こと』の『始まり』はどんな気持ちだったか。

 

 

選ぶ

画材と支持体

描く『道具』画材と、描く為の『支持体』(キャンバスや紙のことです)についてのお話です。

絵を描く時に、何で描くかはすぐに思いつくでしょう。油絵の具だったり、水彩絵の具だったり、色鉛筆だったりですね。

 

しかし、同じくらい大切なのが何に描くかということです。例えば、油絵の具で使うキャンバスも麻布にどういう処理をしたかによって、描き味が変わります。

 

今日の作品は色鉛筆画ですが、私はケント紙の貼られたイラストボードに描いています。

絵の雰囲気、どういう作品にするかで紙の質を選ぶ訳ですね。

『残照』イラストボード(ケント紙)に色鉛筆

私の場合、描き方の都合でケント紙を使用しています。水彩紙や、一般的な画用紙だと思う様に色をコントロール出来無いので。修行が足りないですね。

最近、水彩紙の凹凸を活かす描き方を模索中です。

絵に限らず、ものごとを突き詰めて行くことには終わりがありませんが、終わりの無い旅というのも悪く無いものです。

100均素材で

100均のお店の画材

100円均一のお店には、レッスンで使う工作などで材料を仕入れるのに、随分お世話になっています。

皆さんもご存じの様に、品揃えも豊富で100円均一とは思えないクオリティのものから、値段なりのものまで玉石混淆ですね。

 

絵の具や、筆、パレットなどの画材も結構色々置いてあるのですが、今日はその100円均一で買ったパステルを使って描いた作品です。

A4画用紙にパステ

さくらんぼですね。ちょうど油絵の具で同じモチーフを描いている生徒さんがいて、それを一緒に見ながら『100円のパステルでどこまで描けるものだろうか?』と思い立ち、いわば楽描き的な軽い気持ちで描きました。

率直に『思ったよりちゃんと描けるんだな』と感心しました。100円でこのクオリティなら、納得ではないでしょうか?

 

ただ残念なことにこの絵を描いた後、商品がリニューアルしてしまい全く使い物にならなくなってしまいました。本当に惜しい。

余談ですが、色鉛筆は100円均一のものはお勧め出来ません。これだけは何処の100円均一のお店も同様ですね。

 

ただ、ものをちゃんと選べば良いものも多いですね。助かります。

古典技法を学ぶ

グリザイユ

油絵の具で、写実的な絵を描く際に必要な技法が『グリザイユ』になります。

簡単に説明するとグリザイユは、まずモノクロームで描きそれが乾燥してから、透明色をかけて行く技法になります。

実は学問にも流行り廃りがあって、学生を集める為に大学もその時代に合うと考えられるカリキュラムで授業の構成を行なっています。

そんな理由もあり、私が在学していた頃は伝統的な古典技法をしっかり学ぶことが出来ませんでした。

しかし、デッサンだけで写実性の高い絵を描くことは出来ません。かなりの遠回りになりましたが、グリザイユを独学で学ぶことになりました。その最初期に描いた作品です。

F4号キャンバスに油絵の具

枯葉を描いたのですが、良い勉強になりました。というのも、モチーフがうまく描けたとしても、影の付け方や背景の処理の仕方で絵の雰囲気が、全く変わってしまう為です。

写実で描くとモチーフが何なのか誰が見てもはっきり分かるので、いかにモチーフ以外の部分も重要であるかが理解出来ました。この作品も、何度も背景や影を描き直しています。

しかし、学びを続けている限りは前進出来ている実感を持てますし、それが苦しくとも楽しいものなのです。

同時に描く

3枚同時進行で

現在、同時に3枚の絵を描いています。画家は乾燥待ちの時間を有効活用する為、ほとんどの方が同時に何枚か描かれる方が多いです。

今日の作品はその中の1枚です。

F0号水彩紙にアクリル絵の具

画材はアクリル絵の具ですが、水彩画風に描いています。広義にはアクリル絵の具も水彩絵の具ではありますが、一番の違いは重ね塗りをする際に先に塗った色が、溶けるか溶けないか、という点です。

アクリル絵の具は、乾燥すると表面に樹脂塗膜が出来て、上から重ね塗りをしても下の絵の具が溶け出すことがありません。その分扱い易いといえるかも知れません。

ただ、便利である分きちんと特性を理解して描かないと、器用貧乏になりがちな側面もあるので、注意が必要です。

水彩画

実際はミクストメディアですが

水彩画の猫です。

少し色鉛筆も使っているので、ミクストメディアになりますが。

画用紙に水彩絵の具、色鉛筆

水彩のにじみがうまく出てくれたからでしょうか、評判が良かったです。

描き過ぎない、水分量に気を付ける、見せたい箇所を明確にする、などするとあっさりとした絵でも完成度が高くなります。

ただ、水彩画の難しさは前述の『にじみ』のコントロールが必ずしもうまく行かないところでしょう。湿度などでも紙の含む水分量が変わってしまうので、偶然性も味に出来るだけの基礎力が求められると思います。

日本人の教養として

長く必読の書とされて来た『左国史漢』

ゴールデンウィーク、いかがお過ごしですが?

私はいつも通りの日々です。

今日は本のお話を。

 

ご本の好きな方はこの連休で、沢山の本を読もうと思っていらっしゃるか方も多いのではないでしょうか? 季節も良く、晴れ間が多そうなので屋外やカフェで読むことも出来そうですね。

 

日本人には長く教養の為に必読の書、とされてきた四つの本があります。それを総称して『左国史漢』と言います。ご存じの方も多いでしょうが、念の為ひとつずつ細かく書きますと、『春秋左氏伝』『国語』『史記』『漢書』になります。その中の『史記』のご紹介です。

徳間文庫 史記全8巻

前漢の人、司馬遷が書いた歴史書です。『左国史漢』の中でも、現代において最も有名かと思います。

史記』が何故色褪せずに読み継がれているのか。それはよく言われることですが、人間の典型が数多く描かれている為でしょう。 史記の中で司馬遷が書く人々の姿を通して、我々は沢山の人の思想、感情を学ぶことが出来るのです。

以前も書きましたが本はそれ自体が役に立つのでは無く、読んだ人の情緒を育てるものなのです。『史記』は司馬遷本人の感想、太史公評も書かれており後代の私たちがそれを読んだ時、より理解を深める役に立っています。 理解を深めることで読んだ個々人が、物語を咀嚼し心の滋養となり育まれるのが情緒になる訳です。

 

写真は徳間文庫版の史記全8巻です。抄本ではありますが読み易さ、入門書としてはちょうど良いかと思います。